自己資本が乏しいと、融資してもらえない。どうすれば良いのか

自己資本をかき集めてギリギリの状態で開業しました。運転資金などは当初より課題としてありました。これ以上の融資を期待することは困難なように思えます。せめてもう少し資本があればと考えたりもしますが、安易に資本を増やしていいものか。

資本性借入金であれば、資本を圧迫しない借入が可能でしょう

資本が厚いことが望ましいというのは常識でしょう。しかし、資本にこだわり過ぎて、株主を増やしすぎたり、あるいは株式の保有率を割り込んでしまって経営が暗礁に乗り上げるという結果を招くこともよくある話です。そこまで行かなくてもいざという経営判断の速度が鈍化してしまうということはよくあるものなのです。

これが資本調達のに関わった問題として潜んでいることなのです。自己資本が小さいままでは融資可能な限度額はたかが知れています。わずかな借入が資本比率を圧迫してその後の資金繰りができなくなってしまうということは経営の困難に直結する大問題です。

創業当初の経営が一番苦しいときにまず考えるべき資金繰りとして、公的融資をはずすことはできないでしょう。様々に提供されている公的融資の枠をよく調べて条件に適合するものを見つけることができればしめたもの圧倒的に低い金利、長期の返済期間によって資金繰りとしては相当好条件なものとなるでしょう。

しかし、単純に公的融資であれば万事解決ということにはなりません。それは借入が資本比率を圧迫してそれ以外の融資の可能性を著しく引き下げることになってしまうからです。今後の融資枠に影響を与えない融資・借入の手段がどうしても欲しいということになるでしょう。

資本の一部として計上できる資本性借入金というものがあります。これは無担保無保証人であり、借入金ではなく資本として計上できます。そして金利が経営実績によって変化するというものです。このような融資を使う事で第三者割り当てのようなリスクや融資枠の圧迫といった問題を回避しながら資金を調達する可能性が出てきます。

このような資本性借入金は、銀行が企業の経営状況を判断する際に、負債としてではなく資本とみなすことになる借入金です。金融庁の指導の下、資本性借入金が積極的な活用を促進するためのガイドラインが整備されたことが背景のあります。

原則として長期間償還不要であり契約時に5年を超えていることが条件とされています。この時、利子負担が発生しないことが資本性の条件になります。そしてこの資本性借入金の融資で担保等を設定しないことが金融機関側に課せられているのです。

これらの条件を満たした自己資本とみなされる金融商品は公的融資からはもちろん、一般金融機関の銀行でも一部提供の検討を開始し始めています。但しこのように経営に優利な資本性借入でも留意しておくべき点はあります。例えば資本性借入の全額が自己資本の一部とできるわけではないことでしょう(融資の残存期間によって割合が変化する)。

そして利率が経営の業績によって変化することは意外と落とし穴かも知れません。さらに業績向上による利率の上昇を繰上返済で回避することができません。そして自己資本として看做されるのは金融検査上のことであるということです。つまり自己資本として算入するかどうかは金融機関次第というところがあります。そして資本性とは言ってもそれが借入金であることは変わりません。

このような手段としての資本性借入は確かに強力な資金繰りのツールだということができるでしょう。しかし、これを含む多様化した資金繰りはいずれも業績回復のためのものであって、今まで以上に事業の内容と経営計画が重要な位置を占めてことを良く理解して有効に利用して頂きたいと思います。

資本と融資によるファイナンスの方法について

企業がファイナンスによって資金調達をするときには様々な方法がありますが、大きく分けて二つに分類されます。その一つが資本関係に関連するものです。株式会社の場合には、株式を発行することによって資金を調達することができます。会社設立の段階で発行することもありますし、経営が安定してきてからでも資金調達をするために新規発行することもあります。

株式を発行するメリットは、コストが大きくならないことです。借り入れを行ったり債券を発行したりした場合には利息を支払っていかなければなりません。株式の場合にも、利益がでれば配当金を出すと言うことは必要となってくるのですが、利息のように固定されたものではありませんからコストは大きくならないと言えるでしょう。

株式を新規に発行することによって資本関係は変わるという点にも注意しておかなければなりません。逆に、それを利用する方法もあります。第三者割当増資によって株式を発行し、そしてそれを引き受けた会社が親会社になるという方法をとることもあります。子会社化するときの方法の一つだと言えるでしょう。

資本関係が変わりますから、例えばキャッシュリッチな企業であれば買収の危機にさらされることもあります。収益が確実な場合には、コストをかけてでも資本関係を変えずに資金調達したいと言うこともあると思いますが、このようなときには銀行などの金融機関から融資を受けたり、あるいは証券会社を通して債券を発行したりすることもあります。

融資を受けたり債券を発行したりすれば、利息を支払っていかなければなりませんから固定費として費用が発生することになります。しかし、大企業であれば信用力も高いですからこれらの費用を安く済ませることもできます。最近では金融緩和によってかなり低い金利が続いていますから、資金調達にかけるコストもかなり安くなっていて、企業にとっては資金調達がしやすい状況になっていると言えるでしょう。

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